所内報 ・ に い が た (80・S・55・3)
春は定期異動の時季である。今年の発令は、全国的に見れば四百六十数件でほぼ例年なみの規模ということであるが、当所では、この異動の転出入に伴い三十余名が入れ替わるという近年にない大異動となった。
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転勤はサラリーマンの宿命といってしまえばそれまでだが、転出するにしろ転入するにしろ、一家をあげて住みなれた土地を離れるということは、それは大変なことである。私事ながら下松→室蘭を皮切りに九回の転勤歴から、そこらの事情は骨身に沁みて判るつもりである。異動される方々に更ためてご苦労様と申し上げたい。特に在学中のお子さんをお持ちの方の転勤に伴う親子ともどものご心労については、傍からとやかくお慰めしてもどうにもならないことではあるが、つくづくお察し申しあげる。
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しかし、”流れる水は腐らない”というように常に会社に新鮮な活力を持たせ競争に勝つためには「企業は人なり」という、その根本の「人}の力を最高に発揮できるよう、毎年その組みかたを全社的に見直していくことは不可欠なことである。
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それらの流れの中で、個々にとっては取り敢えず大変なことではあるが、夫々の持ち味、経験、役割を買われて「ここにあなたが必要」と指名されるということは、言ってみれば男冥利に尽きることではないかーーー。どうか「乃公出でずんば」の気概で,勇躍任地に赴いて頂きたい。
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そして後に残る我々はこの異動に伴う人と人の間隙に、もしや事故がおきることのないように、磐石の態勢で仕事を引き継ぎ、新しい八十年代の新潟製油所を更に盛り上げることをお約束し、お別れに惜別の漢詩一篇を贈る。
(次長・生野)
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勧君金屈巵 (この盃を受けてくれ)
満妁不須辞 (どうか、なみなみと注がせておくれ)
花発多風雨 (花に嵐の喩えもあるぞ)
人生足別離 (さよならだけが人生だ)