県立・長崎中学校・同窓会誌・
鳴 滝 だ よ り
(04・H・16・9)
昭 六 生 ま れ
昭六生まれの俺達は 四 昭六生まれの中学は
生まれた年が満州事変 学制改革六三三
小学校は支那事変 名門「長中」消えうせて
中学校で大東亜戦争 母校なくした根なし草
ゲートル巻いて登校し 鳴滝訪ねて遅刻坂
挙手の敬礼カシラ右 桜の花にただ涙
厳しかったな なあお前 背中が淋しい なあお前
二 昭六生まれの青春は 五 昭六生まれの壮年は
配属将校に蹴飛ばされ 廃墟の日本再建に
三八銃で捧げ銃 企業戦士と発奮し
軍事教練の明け暮れで 世界に追いつき追い越せと
勉学なんぞはどこへやら 屋台の安酒あおりつつ
挙句の果ては旋盤工 夜を日に継いで働いた
空しかったな なあお前 よく頑張ったな なあお前
三 昭六生まれの長崎は 六 昭六生まれの晩年は
八月九日の原爆で 気がつきゃ生まれて七十余年
級友半分犠牲にし 昭和も遠くなりにけり
ようやく平和を迎えたが 逝った同期を偲びつつ
十四・十五の食べ盛り 還暦・古希と年を経て
芋がゆかぼちゃの毎日で 過ぎこし方を眺めつつ
ひもじかったな なあお前 まだこれからだ なあお前