心をつかむ(TQCの話)
今月は、やや趣向を変えてS/Sの商売にかかわる真面目な話題を・・・。
活性経営推進センター、Y先生の話を聞いた。題して「SS業界におけるTQCの導入について」・・・あなたのSSで何かのお役に立てれば・・・と印象に残っている要点を列記しておく。
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TQCとは、T(otal)”全員参加。で Q(uolity)”仕事の質を”。C(ontrol)”よくしよう)。という運動である。
SSにおける”Q”とは、とりもなおさず「サービス」ということであり、”お客さまの琴線に触れる何かをする”ことである。
そのサービスには、ビフォア(前)サービス。イン(現)サービス。アフター(後)サービス。の三段階があり、そのそれぞれの段階で、お客様のハートを掴む何かを行動的にすることである。
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心の琴線に触れる何かとはーーー。
こんな例がある。十三坪しかない小さな本屋が繁盛している。この本屋は一般の常識を破って、坪当たり二百万円の売り上げを上げている。一体何がそうさせたのか。
例えばクリスマスが近づくと、店の前に看板が出される。「子供さんへの本のプレゼントを、サンタクロースがお届けします」。・・・そして当日、社長以下サンタの衣装で各家庭へ注文のプレゼントを届ける。奇抜なアイディアとぴったりのタイミング。玄関に出た子だけでなく家族全体の話題になる。口から口へ・・・町の話題になっていく。
この本屋は十三坪だから、そんなに沢山の本は並べられない。そこで注文販売が主体になるが、受けた注文には必ず社長自ら礼状を出す。その中には「注文のお礼・注文内容の確認・入荷予定日」が書いてあり、入荷したら電話で連絡して配達する。これでお客がネズミ算式に増えていったのだという。
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どんな店でも繁盛するかしないかは、その店の人たちが「お客志向」であるか「自分達志向」であるかによって決まる。お客志向とは、商売を ”お客の目で見、立場で考える”のに対して、自分達志向では”自分の損得・利害・都合・好みで見たり考えたりする”。こうして「お客志向」ではどんどん客が増える好循環になり、一方はじり貧の悪循環になっていく。
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買い手であるお客さんは「選ぶ権利を持っている」従って、店を繁盛店にするか,駄目点にするかはお客が決めることになる。商売をするものは、客のコワサを知らなければならない。
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商売を繁盛させるサービスには、ハード(物的・金銭的)面と、ソフト(心情的)面との二つがあるが、ことにソフト面で客を掴むことが重要である。
ハード面で若し何かを安売りしたとしても、客は単に ”儲けた”と思うだけで、その店に感謝するわけではない。バーゲンハンターという言葉があるくらいで、客は ”在庫処分かな?””客寄せのオトリ商品かな?”・・・いずれにしても”儲けたわい”と思うくらいで、店に感謝の気持ちは残らない。ハートを掴まれない限りその人はその店の継続的な顧客とはならない。
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客との間にトラブルが起こってクレームがついた。客が中々納得しない場合、どういう対策をとるか。
1、当人が先方に電話で謝る。
2、当人が先方に行って謝る。
3、上司が菓子折りを持って謝りに行く。
4、値引きして謝る。
5、担当者を交代させる。
という手順がよくとられる。しかしこれでは問題に対する対策ではなく、後始末・尻拭い・応急処置でしかない。
問題を解決するためには、”どうして起こったのか”を考えるプラス発想がなければならない。ところが、我々は得てしてマイナス発想が先行して ”実現が困難な理由・できない理由”を先に考えようとしがちである。
何故その問題が起こったのか?・・・。出てきた問題は「結果」である以上必ず「原因」がある筈で、その原因をなくすことを、実行ペースで考えるのが「対策」というものである。