悲 し き 酒
(胃・肝臓)
酒を飲む人は肝臓を休ませるために、休肝日を設けて、少なくとも週に二日は酒を飲まないようにーー、というが、何故肝臓だけなんだろう。ならば胃だって腎臓だって休ませなければなるまい?。心臓なんかどうする?、生まれた時から何十年もいっ時の休みもなく酷使しているのにーーー。
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酒も煙草もやらないで、レスラーにでもしたいような体格の人が、毎回の健康診断の肝臓検査でひっかかり、しょんぼりしているかと思うと、還暦を迎えて、なお煙草はおろか、酒は斗酒なお辞せずのK・I氏。午前様もものかは、赤いチャンチャンコならぬ赤フンをちょろつかせながら、歌ってよし、麻雀よし、ゴルフでよし。歌も相手によってカラオケ・長唄・小唄・民謡なんでもこい。それで毎日の出退社に八階までエレベーターは使ったことなしという。
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体で悪いところは入り口と出口だけで、先だって、歯の方は上下車二台分かけて総ぐるみ入れ替えたといい、近々出口の方の修理をするという。そしてウナギの肝焼きの串を横にしごきながら ”おい、二日酔いちゅうのはきついもんらしいのお”と未だその苦しみを知らず、 ”休肝日?ありゃいかんぜ。わしもやってみたがの、ありゃ翌日ゆり戻しが来て、かえって余計飲むようになるでよ”という。
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こうしてみると、結局人間のすべては寿命と同じで、その人の持って生まれた運命の星の下にあって、どんなにしようとも、初手からいつ何がどうなるのかが決まっているのではあるまいか・・・と思えてくるのだが如何なものか?。
(やけ酒)
ある小料理屋のおかみさんの話。
「やけ酒・・・っていうでしょう。だけどやけ酒なんてあおるものじゃありませんよ。何の理由であれ、あおればあおる程、ますますその”想い”が増幅されるだけなんですよ。
それに第一、そんな飲み方をしたんじゃ”お酒に対して失礼”じゃあないですか“。。
(銀行振り込み)
例によって赤提灯。女将が、給料日は意外に客足が少ないとぼやく。
”何故だろう””そうですね、昔はお給料日には、その日に懐が温まったけど、最近は皆さん銀行振り込みが多くなったでしょう。だからお小遣いが懐に届くまでタイムラグがあるんじゃないでしょうか?””成るほどそういわれれば思い当たる節がある。世の中、便利になるということは不便なものですなあ。
(つまみ)
飲む時は、良質のタンパク質を一緒に・・・と、ものの本に書いてあるし、その道のセンセイ方もそうおっしゃるが、飲みながら馬がマグサを ”食べる”ように、おかずを ”食う”人がいる。
どうか酒のさかなは ”つまむ”くらいにして貰いたい。”飲む”のと
”食う”のは別々にして頂けないものだろうか。あとでお腹が空いたら、あらためて駅前の夜なきうどん、というのもオツなものですゼ。