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悲しき酒(片々草抜粋)

 

 

 

 

 

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02-Jan-2013

正 月 雑 感

“もういらぬ 年をもろうて おめでとう”

 また正月がやって来た。編集長から「片々草も、正月は正月らしく何か正月の”片々”を書いてくださいよ」と頼まれたが、とにかく、こう一年が早くては、あらためて「正月」という感慨が湧く暇もない・・・。

 ”せわしい蜜蜂は悲しむ暇を持たぬ”というが、フランスの心理学者ジャネーの法則によれば「ある人の生涯の、ある時期における一定時間の心理的長さは、その人のその時までの生涯の長さの逆数に比例する」ーーーそうで、つまり、”五十歳の時に感じる時間の長さは、十歳の時の五分の一になる。時間の経つのが五倍の速さで感じられる”ということなのだそうだ。

 一週間も、一ヶ月も、一年も・・・とにかく”時”の経つのが早い、そんな中で、ふと立ち止まってよーく考えてみれば、結局「時」とは「人生」そのものーーー。その”人生”が駆け足で去っていく、ということではないか。
 そしていつまでたっても”捨てきれぬ 荷物の重さ 前うしろ” ーーー山頭火ーーー。

 落語のまくらに「酒の好きなのが、夢に一升貰ってああ嬉しい・・・。燗をして飲もうとしているところで目が覚めた。”しまった、ヒヤのまま飲んどきゃよかった”」。というのがあるが、言ってみれば我々の人生も、悠久の”時”の流れからみれば、夢の中で一升貰ったようなものーーー早く、大事に丁寧に飲まなきゃあ。
 ーーー生者必滅会者定離ーーー。

 誰が数えたのか知らないが「この地球という”星”を含む銀河系の直径は十万光年で、そういう銀河の数が一千億。その集合体には百億の一兆倍の星があり、そんな宇宙の空間の拡がりは百五十億光年以上・・・」という。そんなどえらい空間と時間の中で生きているんだとなると、夢の中でヒヤだカンだと言っている暇もないウタカタの人生じゃないかーーー。

 ”悪魔の辞典”風にいえば”十二月?。十二分の一の倦怠の十二番目”ということになろうが、その十二月の早かったこと。”忙しい・忙しい、年賀状書く暇も無い”とぼやきながら、何のかの理由をつけては赤提灯の巷を彷徨し 外人から”日本のサラリーマンは、家に勤めて会社に帰るのではないか?”とバカにされながら、それでもまあ健康で昭和六十年を了わり、明ければめでたく昭和六十一年ーーー。
 さて正月となればやはり”年齢のことになるかーーー。

 十三歳で秦の王になり列国を滅ぼして天下を統一。あの万里の長城を完成させ、自ら”始”皇帝と名乗った王 始皇帝が、あらゆる財宝を積み権力に任せて、不老・不死の薬を求めて奔走させたが、結局死んでしまった。その年四十五歳だったという。

 明治維新、奇兵隊を創設した長州の高杉晋作ー二十九歳。薩長連合の仕掛け人、坂本竜馬ー三十三歳。同士、中岡慎太郎ー三十歳。大久保利通ー四十九歳。西郷隆盛ー五十一歳。・・・。いずれもひと旗挙げた年齢ではなく、亡くなった時の年齢である。
 昔の人の一年は、長かったのだろうか?。

 正月早々、あまり”死”の話ばかりでは申し訳ないので、締めくくりはきれいに、少しタメになる言葉をーーー。

      たった一人しかいない自分を
      たった一度しかない人生を
      ほんとうに輝かしださなかったら
      人間に生まれてきた甲斐がないじゃないか
               ーーー山本有三”路傍の石”ーーー

 昭和六十一年。寅年ーーー。
 ていねいに、大切に、あなたの時間を生きてください。今年があなたにとっていい年でありますように・・・。
 土筆生 拝

(86・S・61・1)