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02-Jan-2013

 の ど 自 慢

久しぶりにTVののど自慢をみた。
 戦後いつの頃だったか、まだTVがなかった時代から延々と同じ番組が続いている。日曜日の昼下がり・・・次から次へバラエティにとんだ出演者が、歌謡曲・民謡・・・身振り手振りを入れて、マイクの捌き方も堂にいったもので結構楽しませてくれる。

 それにしてもあの鐘の権威…鐘がカーンと鳴ると、実に素直にあっさりとマイクを返して退場していく。
 鐘が一つか、二つか、合格かの予測は大体つくが、この日は予想に反して上手・下手とは別に、八十何歳かの腰の曲がったおばあさんが、合格の鐘を鳴らしてもらって、司会者には勿論、会場やゲストにまで手を合わせてお辞儀をし、帰り際には楽団の一人ひとりに丁寧に頭を下げながら退場していったのが印象的だった。とかくカタイという評判のNHKも味なことをやってくれるものだ。これが ”功徳”というものだろう。

 素人とはいえ、のどに自慢の人たちの審査である。その素人の中で価格別にうまい人が合格する訳だけど、最後に歌うゲスト、男女二人のプロのうまさはまた格段、やはりそれでメシを食う、それだけのことはあるというべきか。

 しかし、こうやって毎週全国津々浦々を回って、善男善女にひとときの楽しみを与えるNHKの役割もたいしたもの。それにしても、そんな地方の小都市どこに行っても、それぞれに立派な公民館があることに驚かされる。日本も豊かになったものである。

 日曜日の昼下がり、この観客の人たちの平和な顔・顔・顔・・・。この番組が続けられる限り、日本に戦争は起こるまい。

         タ ク シ ー

 無聊なままタクシーの運転手との会話。
 「今の車に乗って、間もなく四年。総走行距離四十七万㎞になる。この車を二人の運転手が交代で使っているが、朝の八時が交代時間。車を引き渡すと休む間もなく、すぐに次の運転手が引き継いで走り出す。年中エンジンはかけっぱなしみたいなもの。酷使されているという運転手よりも、この車の方がずっと酷使されている」・・・と笑った。

 生活費に月三十万円の手取りが欲しいが,その為には歩合で六十八万円の水揚げがなければならないという。そのためには、とても普通の走り方では追いつかない。どう上手に違反するかが勝負。ところが会社もさるもの、ボーナスの時期が近づくと、ささいなことをみつけてすぐにクビにするという。 ”何故?””クビにすればボーナスを払わなくてすむでしょう”・・・さびしい世界である。

 そこで個人タクシーの希望者が増える。大変な競争率でいろんな条件があるが、第一の条件は、五年間無事故・無違反であること。
 仲間が,その資格が出来たので申し込もうと思っていた矢先に接触事故を起こしてしまった。相手の方が悪いと思ったが、この際である、表ざたにせず、事情を話して示談で軽く片付けようとした。ところが相手が悪く、最初シタ手に出たのが失敗で足元を見られて、執拗にたかられ結局コトが大きくなってしまい、申請もおじゃんになってしまったという。

 その個人タクシーも、個人だから好きなように稼げるわけではなく、総走行距離二日間で二百六十五㎞以内。一日に二百㎞を超えてはならない、という枠の中でしか働けないのだと言う。ーーーきびしい世界である。

(86・S・61・12)