無 題 (Ⅷ)
近頃目にふれたもの中から ”ウン”・・・と思ったものを雑多に並べて・・・
無題、第8弾。
*
愚痴は、他人も自分もみじめにするだけである。愚痴は土砂崩れのようなもので、言い出すととめどがなくなる。言ったほうが楽か、自分をきりっと保ち続け続ける方が楽か分からない。
(曽野 綾子)
*
大成する棋士とはーーー。
大山「何をさせてもちゃんとできる人。ふつうの何でもないことをちゃんと
やれる人です」。
中原「人柄のいい人が強くなります。大事なのは人間的なものですね」。
内藤「素直さです。人の意見がすなおに聞ける人です」。
別の日に、別のところで聞いたのに、三人とも同じようなことを言う。しかも即答。口が重く他の質問には慎重な中原も、これだけはきっぱり言い切った。
(中原 邦彦)
*
友の憂いに われは泣き
わが喜びに 友は舞う
人生意気に 感じては
たぎる血潮の 火と燃えて
・・・・・
*
野球をしおったら、勝つことも負けることもありますよ。水野投手は最後の力をふりしぼってよう投げた。この子らの人生のためには、負けたほうがいい、それも水野が打たれる形で・・・。
(蔦 文也・S・58)
*
愛ーーー。赤い火みたいなものなのね。燃えている時だけ存在しているの。捉えようもないし、形も定まらないけど,その時の熱さだけはたしかなの。
(阿刀田 高)
*
身に覚え ある中年の ものわかり
*
あと七十五日すると、もう一つ年をとる。今年一杯もつかもたないか、それは分からない。死ぬつもりはないけど、ポコっと来よったらしまいやわね。来よらなんだらもうひとつ大きくなる。頓着あらへん。
なんぼ考えたかて勘弁してくれへんわね。あの人、考えてはるよって、もうひと月延ばしてやろう。そんなことあらへん。時間がきたらポコッといきよる。十四日に首振ってはったのに、もう死によったんかいな。その時のことや、それも仕方が無い。別に死にたい思うたかて死ねるもんやないし、生きたいと思うても生きられない。生きたら生きたとおりやし、いかなんだらいかなんだまでの話しやの。
(大西 良慶・百二歳)
*
投げやりな気持ちで台に向かった時は駄目である。台に挑戦し戦いを挑む気持ちも感心しない。台の前に座ってその台をじわっと懐ふかく抱え込むようにして、その台が少々つれない顔で,はじく玉を受け入れてくれなくても、気息を乱さずにそれを続けると、やがたチューリップが開き始める。
(吉行 淳之介)
*
仕事に打ち込んでいる顔と、こうもあろうかと想像する夜の顔がぴたりと重なって不自然でない。そういう男が好き・・・。
(田辺 聖子)
*
練習の時は自分を下手だと思え、試合になったら自分が一番上手だと思え。
(ウオルター・ヘーゲン)
*
花を支える枝 枝を支える幹
幹を支える根 根は見えねんだなあ
名もない草も 実をつける
命いっぱいに 自分の花を咲かせて
つまずいたって いいじゃないか
人間だもの
(相田 みつお)