禁 句
ある結婚式の媒酌人を仰せつかった。その会場で「媒酌人読本」という本を渡された。
めでたい結婚式での忌み言葉ーーー参会者のスピーチも気をつけて貰わねばならんが、少なくとも二人をまとめる媒酌人が、不用意にこんな言葉を使っちゃいかん、というマニュアルである。
”去る”とか”分れる”とかいう言葉を使っちゃいかんという程度のことは知っていたが、こんなに沢山あるとは知らなかった。面白いので、以下代表的なのをご参考までに掲載しておく。
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「かえす。かえる。分かれる。破れる。もどす。去る。切る。冷める。薄い。離れる。戻る。こわれる。死ぬ。再び。枯れる。きらう。つまずく。やり直し・・・」から発展して 「梨・ナシ。空・カラ。蛙・カエル。猿・サル」など意味はともかく、字の読み方のオンが忌み言葉に通ずるのもいかん。「重ね重ね」といったカサネ言葉もタブーだという。
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だから「去年は昨年。帰るは中座。終わるはお開き。・・・と言い換えること」と親切なことであるが、さて、あなたのスピーチの原稿をもう一度読み返す必要はありませんか。
(80・S・55・1)