好 意
”牛に引かれて善光寺参り”というけれど、ジョギングしていると、よく犬に引かれて散歩している人に出会う。街の中を走っていても、意外に犬を飼っている家の多いのに気づく。ーーー正確なところは分からないが、十~二十軒に一軒くらいは飼っているのではあるまいか?。
走りながら、昔聞いた仔犬の話を思い出した。
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人間の為に、”ネコは鼠をとってくれる。牛はミルクを提供してくれる”。何もしないようなカナリヤは美しい声で囀ってくれる”。ーーーだから人間はそれらの動物を飼う。なのに何故人間は番犬にもならない仔犬を飼うのだろう?。
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”仔犬は、何の警戒心も持たず、全身の好意をシッポに現して、向こうから無心に身をすり寄せてくる。それが可愛くて人間は何の役にもたたない仔犬を飼うのではないか?”。
”人間も同じこと、相手に好意をもたれたいなら、先ず相手に好意を持たなければならない。人から信頼されたいなら、先ず相手を信頼しなければならない”。
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”自分がヨロイ・カブトに身を固めておいて、相手に鎧・兜を脱げというのは無理。まず自分が鎧・兜を脱ぐべきではないか”・・・。
お 面 一 本
大江山 生野の道の 遠ければ
まだ文もみず 天の橋立
という書き出しで、H子さんという方から「SSのことを書いてある面白いコラムをみつけましたので・・・」と新聞の切抜きを同封したお手紙を頂いた。
一人でしまいこんでおくのは勿体ないので、ご紹介させていただく。
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「先日、浦和市のあるガソリンスタンドに寄りました。車を見つけると間もなく、向こうから若い社員が ”いらっしゃーい”と叫びながら駆け寄ってきてi
いるのでしょうが、それが ”シャアーッ”と聞こえるのです。
随分省略したものだなあとおかしく思っていましたが、、お金を払ってエンジンをかけたとたん、今度は ”タアーッ!”と一撃。竹刀でお面を叩かれたようでドキリとしました。”有難うございましたーっ”の ” タアーッ”しか聞こえないのです。通路に出たらもう一度 ”タアーッ!”ときたので、私もとっさに ”トオーッ!”と一本返してきました。
あの威勢のよい若者のいるスタンドにまた行って見たい」。
(埼玉県・神長利洋・五十六歳・自営業)」。
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如何です?・・・。あなたのSSでも、給油が終わって送り出す車に、元気一杯 ”タアーッ!”とお面を一本づつ食らわせて送り出しては・・・。
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(ところで、H子様・・・。”コエハスレドモ、スガタハミエズ、ホンニオマエハ「?」ノヨウナ・・・”と申します。 ”まだ文もみず・・・”といわれてもどうしようもありません。ムカシノブシハ マズ ナノッテカラ タタカッターーー
と申しますが?)。何はともあれ,お手紙有難うございました。また楽しいお話をお聞かせ下さい。
酒のサカナに
蜂の喧嘩(さしつさされつ)より。
四人の子供が居た。末の一人だけが並外れて不細工で、他の三人と顔立ちが全く違う。奥さんが瀕死の病床、いまわのきわに亭主が思い切って尋ねた。
「ずっとこれまで考え続けていたんだけど、頼む教えてくれ・・・。もしや、あの末の子は俺の子ではないのでは?」。
そしたら、その奥さんニッコリ微笑んで曰く
「あなた、大丈夫安心してください。あの子だけはあなたの子です・・」。