I & YOU
良い人間関係を作りたかったら、人と話するとき、 ”Iでしゃべるな、YOUでしゃべれ”という。
「俺・僕・私・・・で始まる話は必然的に例外なしに自分を中心にした話になってしまう」。
人間はすべて自分中心の動物である。自分中心である自分が我慢して、やはり自分中心である相手を中心において話をすれば、人間関係はうまくいく」。
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「君、この前釣りに行くって言っていたけど、どうだった?」
「たしか、あなたとこのお子さん、今年から小学校じゃなかった?」
という風に ”YOU”を頭にした話は、相手を中心にした話の展開になる。だから人間関係がうまくいく・・・というのである。
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ところが、例えばわが愛する赤ちょうちんでの我々の会話は、初めのうちこそ、しおらしく”この前甲子園でいい所まで行ったあのA校・・・あれ確か君の母校じゃなかった?”などとやっているけれども、飲むほどに酔うほどに夫々の”オレがボクが・・・”頭をもたげ、自分中心の話になってしまっている。それも、どうしても地位の上の人、先輩格の人の ”オレがボクが・・・”を下の人が聞かされる羽目になってしまう。
それで、相手が勘定でも持ってくれると言うのであれば我慢もするが、挙句の果て給料日にワリカンの明細書が回ってきたりしたら、これはもう目も当てられないのである。
本 能
太平洋戦争、南方前線歴戦の勇士 K・I氏の話。
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「・・・人間にはいろんな本能があるが、いよいよとことん最後になって残る本能は何だと思うかい。・・・最後に残るのはな ”個”の保存本能じゃのう。
ワシが軍隊におったとき、勝ち戦でシンガポールにおった頃は、それこそ毎日毎日 酒池肉林じゃ。
それがお前、ビルマの第一線に行って、さて命がけちゅうことになったら、その日をどう生きるかじゃ、そうなったらお前、このワシが女のオの字も考えん・・・そんときよう分かったぜ、人間はまず ”個”の保存、それから ”種”の保存じゃ、ようできとるもんじゃのう」。
道 案 内
迷って、道路やビルの案内板を見るときどうする?。まず、自分が今どこにいるのか「現在位置」を見つけるのが第一。今自分のいるところを確かめて、それから道順を辿って目的地を探していくのが常道だろう。
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電話で人から道順を尋ねられた時、どういう教え方をするか?。
”今、貴方の居る所はどこですか?。、その公衆電話の回りにはどんな建物がありますか?・・・”とまず相手の居るところを確認しなければ、相手を目的地まで誘導してやることは出来まい。
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当り前のことのようだけど、例えば人にものを教えるとき、相手の現在の能力・理解力をしっかり掴んでから指導すべきなのに、相手がどこらあたりに居るのか関係なしに,十把ひとからげに、自分の方の能力中心に指導していることはないだろうか?。
(88・S・63・11)