2024.12.23
情報化学+教育 > YMB Pro for MI
Y-MBというのは、Yamamoto Molecular Breakの略です。ハンセン溶解度パラメータ(HSP)を一緒に研究しているAbbott教授が命名してくれました。
もともとは、HSPを推算するために、分子を官能基に分割するアルゴリズムだったのですが、だんだん私の作る物性推算式全体を表す用語になりました。ポリマーに拡張したものはY-PBになります。これらはHSPiPというソフトウエアーに搭載され販売されています。
分子を分割するにあたって、Smilesの構造式だけを必要とします。分子構造をExcelのような表計算ソフトで管理できるのでとても便利です。
YMB25Pro4MIはHSPiPに搭載されていない物性値の推算や、Materials Informatics (MI)を使って材料設計する為のツールを含みます。私のコンサルはこのツールを使うことを前提にしています。
ごく一部の機能は市販のHSPiPとかぶりますが、MI関連の機能はHSPiPには、ほとんど搭載されていません。
ここでの説明は、YMB25Pro4MIを使っている方(使う予定がある方)向けのオンラインマニュアルのようなもので一般の方に向けたものではありません。HSPiPを購入しても使えませんので注意してください。
炭素材料とポリマーの適合性 2025.2.5
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炭素材料とポリマーの適合性をHSPと臨界界面張力で考えてみる。YMB25Pro4MIならどちらでやるにしても、1Stopでできる。
グラフェンとポリマーの適合性
フラーレン(C60)とポリマーの適合性
CNTとポリマーの適合性
Carbon BlackのパルスNMRの解析はHSP距離の33式詳説を参照
ソルバトクロミズムでやっとドナー数、アクセプター数がわかった!2025.2.1
2017年、HSP50周年記念講演会で発表したyED, yEAがやっとわかってきた。HSPは平均場理論だ。HSPが似たものはHSPが似た溶質を溶かす。これで多くの問題を解決できてきた。すると困るのが蛍光スペクトルなどで見られる極性溶媒の問題だ。(「有機化学反応と溶媒」という書籍から)分子中にあらわに電荷を持つ。これが溶解性にどんな影響を与えるのだろうか? 溶媒によって溶質の電荷に応じた溶媒和の変化に差が出る。
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Solvents and Solvents Effects in Organic Chemistryという書籍にも次のような模式図がある。
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こうした表現がHSPではできないので、HSPにブレンステッド酸塩基、ルイスの酸塩基を導入しようと10年間苦しんできた。
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ソルバトクロミズムのET30の極性パラメータと、新世代HSP2で使っているYamamotoのElectron Acceptor(yEA25sq)が非常に高い相関を持つことが分かった。ルイスの酸塩基が関与する溶媒効果(例えば無機物の分散)がすっきりしてきた。誘電率も含め、あーそうなんだと納得してきた。
溶解度パラメータにドナー数、アクセプター数を導入。僕が初めてでは無かった。残念! 2025.1.27
この2年ぐらい、ドナー数、アクセプター数を矛盾なくHSPの理論の中で取り扱えるように模索してきました。次世代のHSP2がようやく見えてきたかな?と思ったら、35年前の書籍にもう書いてありました。。。。
ここでは誘電率を距離の式で検討しました。誘電率というのは一つの極性パラメータだ。ソルバトクロミズムで関連する話をする。示唆にとむ色々な結果が得られました。ここでは軽くさわりだけ。悔しいから、YMB25Pro4MIに電荷平衡法とCNDO/2の計算ルーチンを搭載した。
電荷平衡法とドナー数とアクセプター数 2025.1.29
拡張HSP2にElectron Donor/Acceptorを導入するのに、色々勉強した。その時の書籍が前出の本だ。
Acid-Base Interactions
Relevance to Adhesion Science and Technology
Frederick M. Fowkes (1915-1990)
結局、電荷平衡法の計算も、Electron Donor/Acceptorも元は同じと知り、またまたショック。後は賢いAIにでも任せよう。
Fowkesさんは接着の仕事量で、すごい研究をしている。YMB25Pro4MIに(臨界)表面張力の成分わけの機能を搭載したので、すぐに試すことができる。
HSP距離の33式詳説 2025.1.20
HSPiPではせいぜい距離の式は2つしかなかった。何故次世代のHSP技術ではそんなに多くのHSP距離を考えなくてはならないのか詳細に解説した。YMB24Pro4MIのユーザー向けの記事だが、HSPの考え方の拡張として一読するのはおすすめである。
レジストポリマーの設計 2024.12.23
最初の例題として、レジスト・ポリマーの設計方法を解説します。まずPolymer Smiles(繰り返しユニットを[X]で囲ったSmiles構造式)を集めましょう。後は1Stopで設計できます。
車用ゴムの設計 2024.12.31
経産省の方針で、「自動車メーカーには30年代早期に、乗用車の新車販売でバイオ燃料20%混ぜた燃料への対応車の比率を100%とすることを求める」とあった。YMB24Pro4MIを使って、特にゴムの耐溶剤性(ガソリンとバイオ燃料混合物)を考えてみよう。
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活性炭に吸着されたPFOsを超臨界炭酸ガス(ScCO2)で抽出できるだろうか? 2025.1.4
有機フッ素化合物(PFOs)は中性であれば活性炭に吸着される。カルボン酸、スルホン酸の塩であったら難しいかもしれないが。そうした活性炭が山中に放置されて汚染源になったりしているようだ。非常に薄いものを処理するのは大変だが、一旦濃くなったのなら、その濃くなったものを更に濃くする方法を考えてみる。
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活性炭に吸着されたPFOsを超臨界炭酸ガス(ScCO2)を使って濃縮する。
まず、PFOsがScCO2に溶解しやすいかどうかを次世代のハンセンの溶解度パラメータ(HSP2)を使って評価する。ScCO2に溶解しやすければ、圧力スイングをかければ、PFOsを分離できる。
液相拡散係数 2024.8.9
ある溶質が液体中をどのぐらいの速度で拡散するか?のデータが化学便覧に記載されている。
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これを新しい距離の式で解析してみた。
しかし、そもそも、拡散係数の高い化合物は、溶媒と良く相互作用しているのだろうか? それとも弱く相互作用しているのだろうか?
ちなみに、水溶媒で一番拡散係数が高い溶質は水である。しかしベンゼン溶媒で一番拡散係数が小さいのはベンゼンである。
現在の距離の式は、よく溶解するものの距離が短くなるように係数を探索する。
従ってScoreのデータの取り方はよく考えなくてはならない。
バイオ系酸化防止剤 2024.8.6
ビタミンCやお茶の抗酸化剤カテキン類は、カルボキシル基やフェノール性の水酸基を持つので新しい距離の式が有効だろうと考えて解析を行ったが、予想を覆す結果になった。
透過現象 2024.8.2
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ある化合物が防護用の手袋を透過する時間、破過時間(Break Through Time)や、さらに皮膚を透過するKp(cm/hr)はHSPとどういう関係にあったのだろうか?
以前の結果はこちらにまとめてある。正直にいうとHSPはあまり関与しないという結果だった。
今回はさらに新しい距離の式で評価を行った。多くの洞察を与える結果となった。
YMB24Pro4MI-Tools 2024.8.2
飲み会の前に、ちょっと試しにスタンドアローンタイプのアプリケーションを作成してみた。簡単にMac, Windows, Linuxで動作するアプリができた。
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元々、GUIなど使わずに、コマンドプロンプトから使う設計なので、アプリケーションといっても味も素気もない。ネットワークにアクセスする必要がない。ハードディスクの読み書きは行わない(コピペのみ)利用期限が設定できる。もう少し動作チェックしたのち、MIユーザーへ配布する。その後Webアプリの提供は終了する。
ライセンスの使用者数を限定するのは、私には荷が重い。どうしても利用者数無制限の(高額な)コーポレート・ライセンスになってしまう。それでも年契約できるからまだいいか。
酸性顔料、塩基性顔料の分散 2024.7.30
デンマーク(Hansen先生の母国)で画家は筆を洗うのにシンナーを使っていた。そしてシンナーは健康には良くない。(日本でも印刷工が胆管がんになるなど、今でも問題が出ている)そのシンナーをハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を使って他の安全な溶媒に置き換える。それがHSPの始まりだ。
そこで顔料、ポリマー、溶媒の組み合わせの研究は非常に多い。
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HSPiPの中にもオランダのワーヘニンゲン大学のScheutjensとFleerが開発した、SFBoxが搭載されている。しかし、私は中身をあまり理解していないので使い方を提案できていない。
ここでは、SFBoxの利用の話ではなく、HSPが長年答えることができなかった、酸性顔料、塩基洗顔料の分散の話だ。溶解度パラメータはHildebrandの”The solubility of nonelectrolytes”が大元なので、酸性、塩基性を扱えない。そこで塗料業界では、とても限定的な利用しかされてこなかった。しかし、無機物の分散にはLewisのDonor/Acceptorが重要だとわかってきたので、顔料へも適用してみた。
Y-PBの最新版? 2024.7.28
Y-MBは低分子用の物性推算機能だ。HSPiPユーザーであればよく使う機能だろう。これについてはver.6で(新しい機能は搭載されなかったが)全面的に書き換えた。中分子や官能基を多数持つ分子のOvershootingは圧倒的に減って解の安定性は高くなった。
同様にpolymerSmiles(繰り返しユニットをXで挟むSMILES)からポリマー物性を推算するY-PB(ver. 5.2に搭載)は2022年に計算アルゴリズムを全面的に変更していた。
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Y-PBはDIYのPolymerタブから使える。
ところが、ver.6のリリースの時に変更するのを、私が忘れたようだ。
Pro版のY-PBを作っていて、計算結果がHSPiPのver.6のものと違うので発覚した。
というか、正確にいうと、新しい計算式を作って、タイトルをYPB22に変えただけで、読み込み関数を何もいじっていなかった。まー、コロナの激しい時で、まともじゃなかったって言い訳しておこう。ver.6.1用にAbbott先生には修正版を送ったので、近いうちにリリースされるだろう。(2025.1 リリースされた。)
解熱鎮痛剤 2024.7.29
***
Loopボタンを押して構造を確認してみると、カルボキシル基と他の官能基を持つものが多い。Paracetamol(アセトアミノフェン)は以下で説明したが、こうした解熱剤の溶解性に関しても新しい距離の式が有効だ。
複数の官能基を持つ場合の混合則 2024.7.28
自慢できないが未だにわからない。HSP50周年(2017年)の時からわからないと言い続けている。逆ギレして仕舞えば、HSPの混合則だって体積分率平均が正しいとは言えない。例えば、Paracetamolの場合、どう取るのが正しいのだろうか?
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アセトアミノフェンの定量的溶解性にも記載しているが、難しい。そこで全部計算して一番よく合うものがどれかをみる。カッコよく言えばデータ駆動型研究とも言えなくない。HSPだけで説明できない時に考えるネタを与えてくれる。
液液抽出をHSPで考えるのは難しかった 2024.7.21
2010年当時は、水とオクタノール、ジエチルエーテル、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、ヘキサンの液液平衡をHSPで考えるのは難しかった。ある化合物の水とのHSP距離、有機溶媒とのHSP距離で簡単に計算できると思ったのだが。
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例えば、オクタノールのKdの値はHSP距離で考えるより、単にHSPで使っている分子体積で考える方がよっぽど良かった。今回はdHの値をいろいろと分割し、距離の式を試すことができるようになったので、再評価を行った。
HSP2Go 2024.7.19
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溶媒のHSPとSphereのHSPを貼り付けると拡張現実、ARとして表示することができる。
2016年にポケモンGoが流行ったときに作ったソフトだが、Processingの最新版をインストールしたらそのまま動いた。まー現実の方は入れなくても簡単に3次元表示のプログラムは作れるので有用だ。いろいろインスパイアーされるのは楽しいことだ。
Flory-Huggins のχパラメータ 2024.7.18
格子モデルに基づく高分子溶液の統計熱力学理論
数珠状につながった玉(高分子)とつながっていない玉(溶媒分子)を考えることにより、混合エントロピーを導く。
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ポリマーのHSPと溶媒のHSPがあれば、2.13式からχパラメータが計算できる。
今回、酸・塩基、ドナー・アクセプターと距離の式を拡張した。χパラメータと距離の式を見ていこう。
QSphere:量的な問題を解く 2024.7.17
HSPiPのScoreは基本的には0,1である。
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dDを分割したり、dHを5タイプに分割した新しい距離の式を作成した。さらにプログラムを拡張して、Scoreに実数を使うQSphereを作成した。これは、距離と実数が一番高い相関になるように玉ねぎの中心を求める。より多く溶解、より長く分散などを考える時にはQSphereは有効だ。無機物の分散では、yED/yEAが重要になったりする。
HSPと表面張力 2024.7.15
表面張力の推算に関してはpirikaのHPで詳しく解説している
表面張力の推算法
表面張力の理解のために
このところ、液体の接触角をHSPで取り扱うケースが増えてきた。水素結合項δHの取り扱いを理解していない解析があるので、HSPと表面張力の違いを解説しておく。
Abbott先生は表面張力は嫌いなので、HSPiPには搭載されない。
3次元では足りない? 2024.7.14
旧来のHSPであれば[dD, dP, dH]と3次元なのでハンセン空間、ハンセン球から溶解性や分散性を判断できた。MIで用いる分にはグラフィックは考えないで良い。しかし、MIユーザーとしては、次元削減方法は習得しておく必要がある。
主成分分析(PCA)を用いた次元縮退
新しいHSP距離 2024.07.11
2017年、HSP50年記念講演会で、分散項dDのdDvdw, dDfgへの分割を発表した。
さらに、dH項の分割を試みた。しかし、HSP距離の式が作れなく、実際の利用にまで至っていない。量子ドットの分散を例に新しいHSP距離の使い方を解説する。
アバタ・チュートリアル
No12. 量子ドットのようなナノ粒子のハンセン溶解度パラメータを得る方法
PirikaNews2024年7月号
も合わせて読んでほしい。
新しい溶媒混合則
2024年1月にリリースされたY-MB24のHSP値推算ルーチンでは、混合溶媒は体積平均で計算するのでは無い。しかし、HSPiPではそのような取り扱いができない(とても面倒)ので昔ながらの計算方法をとっている。これはMIユーザー用の機能として公開していく。
ブログ:次世代ハンセン溶解度パラメータ(HSP2) 混合溶媒の混合則 2024年3月20日
ハンセン空間中の分布を3次元で見る 2024.7.28
研究者の定義した”良い”溶媒がハンセン空間に集まって来るわけではない事は以下で説明した。HSPiPは持っているのが前提なので、溶媒のHSPの値を3次元で見るのも簡単だ。ここでは、Plotlyという3次元表示用のWebアプリを簡単に利用する方法を解説する。HSPiPを持っていない方に渡す、Webページに載せるなど利用方法も多いだろ
タブ区切りのデータがあれば、自動的に表示用htmlファイルを作るWebアプリを作った。視覚的にはハンセン空間はdD軸は長さが倍になっているので(距離の式でdD項の前に4が付くので)HSPiPの表示とは少し異なる。主成分分析を行なった上で3次元にプロットするのは良い。
ハンセンの溶解球の誤解:良いものが集まって球を作る。2024.7.13
研究者が定義した良いものが集まるわけではない。HSPが近いものが、同じような性質を持ちHansen空間中で集まるだけだ。研究者にとって良くない、長い緩和時間の溶媒が集まってしまうことだってある。
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良いとか悪いというのは、あくまでも研究者の主観であることをお忘れなく。
その溶解はHSP依存だろうか?
HSPiPを開発している私が言うのもなんだが。その溶解、分散はハンセンの溶解度パラメータでしか説明できないものだろうか?
特に第3周期以降の原子が絡んでくると、d,f 軌道の空軌道が電子を受けとったり解釈が難しくなる。HSPだけでなく、他の識別子で重要なものを選択し、総合的に判断していくことがMIstには重要になる。MIツールの中の識別子ジェネレータと変数選択重回帰法の解説をしよう
無機物の分散に酸性、塩基性は影響するだろうか?
2017年のHSP50周年記念講演会でY-MBでElectron Donor/Acceptorを推算する方法を発表した。HSPiPではプロトンのDonor/Acceptorなので、活性水素を持った化合物以外には関係ない。
化学総説 No.18 1978年 「情報化学」 日本化学会編の125ページには、酸化物の酸性、塩基性が分類されている。こうした酸化物はLewisの酸/塩基で考えなくてはならない。そうした相互作用を合理的に取り込める距離の式が作れなかった。しかし、MI的に使うのであれば良いので、HSPiPとは離れMIユーザーに提供していく。
ここでは、水素結合項の分割について解説する。
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MI用ツール群の紹介
HSPiPのGUIを離れ、YMBの推算値をMI用のインプットに用いる使い方が増えている。Excelのoffice scriptやJSpreadSheetなどを使って簡単にMI用のDescriptorを作るWebアプリを作成している。さらに機械学習に使う便利なツール群の整備も進んだ。これはMIユーザー用のツールだ。
ブログ:ハンセン溶解度パラメータ(HSP)推算がExcel上で動くようになった。2023年4月29日
ブログ:Power AutomateでY-MB計算の自動化 2023年5月4日
2024.7.12 MIユーザーには次のMIツール群(Webアプリ)を提供している
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