2011.6.10(2021.1.11改訂)
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分子の電荷計算(電荷平衡法):
電荷平衡法(Charge(Q) Equilibration(Eq) : QEq)はカルフォニア工科大学のGoddard教授らにより1990年前後に提唱された分子中の原子の上の電荷を簡便に計算する方法です。
通常は分子は3次元で扱います。
簡単な説明はこちらを参照してください。
3次元で扱う場合には結合が無くても、誘起される電荷を取り込んで計算できるので、より正しいのでしょうが、3次元の構造を組み立てるのは結構大変です。
3次元のQEQの計算はこちらでできます。
そこで、電荷の移動は結合部分のみという前提で電荷平衡法のプログラムを改造してみました。
QEQ-2Dを立ち上げたら、まず最初に最初の授業で伝えるパスコードを入力します。(パスコードがないと使える原子はH, C, N, Oだけになります。)
分子の組み立て方についてはこちらを参照してください。他のPirikaの物性推算と異なり、水素はきちんとつけなくては駄目です。
分子を描いて計算ボタンを押せば瞬時に結果が得られます。
複雑な分子を描くと一部電荷の表示が見難くなるかもしれません。その時はMoveを選択して、原子の上でマウスを押して、グリグリとひきずってやると見やすくなります。
マウスを離した所に原子が移動する。
こうした計算が瞬時に、遷移金属まで含めた周期律表103番原子、Lrまで、できるのが電荷平衡法の特徴です。
Total Chargeを-1.0と指定すれば酢酸イオンも計算できる。
化学工学の学生には必要ないと思うので、X原子は入力できなくなっていますが、ナトリウム塩なども計算できます。
分子を描くだけでこうした情報が得られるので、非常に有用でしょう。
自分はこれまでに、原子団寄与法を使った物性推算式を色々開発してきました。
この方法の問題点は、原子団に、出現頻度によって統計的にひとつの値を割り振ることだと思います。
例えばエチル基はブタンなどからパラメータが作られます。こうしたものからパラメータを作るとエチル基は非常に非極性になります。
CF3CF2も分子の表面はフッ素に覆われていて、その電荷は皆同じなので、非極性の官能基になります。
ところが、この二つの官能基が合わさると、非極性とは言えない性質が現れます。
この化合物のQEQで電荷を計算してみると明らかでしょう。
これがこのように簡単に計算できると、物性推算の補正項として非常に有用です。
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