DBと物性推算

2024.9.10

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ポリマー系データベース

有機低分子と異なり、ポリマー系のデータベースの作成は結構難しい。
モノマー組成が同じでも、使う量が異なっていたり、作り方が異なっていたりする。しかし、その部分をしっかり作らないと、次のポリマー物性推算に繋がらない。
古い資料であるがデータベースの作成法の記事をよく読んでおいてほしい。

MAGICIAN養成講座

MIに適した簡単なデータベースの利用法(2018.9)
複雑なポリマーのデータベース化(2018.9)

ポリマーを検索する方法

ただし、こうしたDBを作る前に、作成しておくプログラムがある。
自分で作ろうとしているポリマーをDBからどうやって探すのかという問題だ。

例えば、AN-St(アクリロにトリルースチレン)のポリマーがある。それがデータベースに登録されているかどうか?どうやって調べたらいいのだろうか?
名称で検索しようとしても、様々な名称がある。CAS番号も参考にはならないだろう。自作のポリマーなら、合成日をポリマー名にしていることがあるだろう。
そうした場合、ポリマーの繰り返し単位を描くとPCodeを返すプログラムは必須になる。
さらに、AN-Stの比率が変わったもの、はサブコードを別に定義する。そうして、そのポリマーの物性値をデータベース化していく。
このプログラムを作っておかないと、物性と構造の相関をとるデータ・セットを作ることができない。
ポリマーSmilesが既に作成済みであれば、そのPSmilesからポリマー物性にアクセスすることができるようになる。

シーケンスを得るためのDB

特に共重合ポリマーの場合、同じ量がポリマーに入ってもモノマーの並び方(シーケンス)によってポリマーの物性は異なる。
実験値としてのr1,r2をデータベース化する。Qe値をデータベース化することも重要であろう。ただこうしたデータが今後どれだけ増えるかは疑問が残る。
そこで、分子軌道計算だけで反応性比を計算できるメリットは大きい。これまでに計算した遷移状態の構造はDB化しておく。似たようなモノマーの遷移状態を簡単に得ることができる。それを元に置換基操作で新しい遷移状態初期値を得る。

ポリマー物性推算

Van Krevelen法

ポリマー物性をやっている者なら知らない人はいないだろうが、KREVELENの”Properties of Polymers”は物性推算式の構築法も含めとても良く勉強した。(CALTECHの恩師に物性推算したいならこの本を勉強するのは必須と言われ、CALTECHの本屋で購入した。$461.5なり 1991年のことだ)
書籍に記載の推算式は、ベースの部分では原子団寄与法を使う。問題は、物性値によって原子団の種類が一定でないことだ。自分が使うと決めた原子団に対して、ポリマーの物性値を探してきて、既に決めてあるパラメータはそのままに、足りないパラメータを補って推算式を作らなくてはならない。



最初は官能基の数を手入力する方式。


次はポリマーを描画する方式。

最終的には、PSmilesを入力して推算する方式にした。

Y-PB法

私はハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を扱うソフトウエアー(HSPiP)の開発者だ。HSPiPに搭載のY-PB(Yamamoto Polymer Break)は私が作成している。

Y-PBというのは、PolymerSmilesの構造式から、そのポリマーがどんな原子団から構成されているかを数え上げる。低分子用のY-MB(Yamamoto Molecular Break)と大きく異なるのが、ポリマーの場合、主骨格と側鎖を別にカウントすることだ。
そうして、作られた原子団のテーブルと物性値の相関を情報化学の技術をつかって解析していく。

HSPiPはフリーウエアーではない。有償のソフトであるが、pirikaでやってきた事はすべて詰まっている。

HSPiP V.5.2のポリマー機能-YPB
Y-PBの最新版(2024)

共重合体物性の推算

POSEIDONが使えるという前提で、ラジカル共重合性ポリマーの物性推算法を紹介する。

PSMILESのMI利用

ラジカル重合は様々なモノマーを組み合わせて製造される。
縮合系のポリマーも、例えばポリイミドの場合、様々な種類の無水テトラカルボン酸、様々なジアミンから製造される。そうした時の計算を合理化する方法を紹介する。

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