遷移状態のデータベース

2024.9.04

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ラジカル重合における遷移状態のデータベース

最初に立ち上げると、画面には何もない。まず、どのラジカルがアタックするかを指定する。

ついで、どのモノマーがアタックされるかを指定する。

サーチボタンをクリックすると、遷移状態の構造が読み込まれる。
その構造(MOPAC形式)をコピーして、置換基をつけたりして、他のフォーマット(Babelを使う?)でセーブし更に高精度の計算を行う。

いきなりゼロベースで遷移状態を探索するより効率が高い。私はこの方法でB3LYPでの遷移状態の計算を行った。

以降、2005.1.14の古い記述。

MOPAC、PM3を使ってラジカルがモノマーにアタックする遷移状態を求めて、データベースを構築した。

用いたモノマーは Methyl acrylate(メチルアクリレート:AM), acrylonitrile (アクリロニトリル:AN), maleic anhydride (無水マレイン酸:Mal), Methyl Methacrylate(メチルメタクリレート:MMA), styrene (スチレン:St), vinyl acetate (酢酸ビニル:VAc), Vinyl chloride (塩化ビニル:VC), vinylidene chloride (塩化ビニリデン:VDC), vinyl fluoride(フッ化ビニル:VF), Acrylic acid (アクリル酸:AA), Allyl chloride (アリルクロライド:AllC), acrylamide (アクリルアミド:AMD), Butadiene (ブタジエン:BD), cyclohexene (シクロヘキセン:cHn), acrolein (アクロレイン:CHO), Glycidyl Methacrylate(グリシジルメタクリレート:GMA), methacrylic acid (メタクリル酸:MAA), methacrylonitrile (メタクリロニトリル:MAN), Methyl Vinyl ether (メチルビニルエーテル:MeO) vinylidene fluoride(ビニリデンフルオライド:VDF) の20モノマーである。

Headの位置がラジカルになったモノマーが他のモノマーにアタックする遷移状態なので、全部で20*20=400の遷移状態が存在する。そのうち、9つの系はもとまらなかったが、残りは、マイナスの振動がひとつだけで、その振動方向がラジカルがモノマーのtailにアタックする正しい遷移状態であった。

遷移状態がどのような構造で、振動がどんなものかをブラウザー上で確認できるように、 [遷移状態データベース (TSDB) リンク切れ]()を構築した。このデータベースは、JAVAとJavaScriptを使って表示するので、ブラウザーの設定でこれらが有効になっているか確認の上、利用してほしい。(なにぶんずいぶん昔に作ったので動かないかもしれない。その場合はあっさり諦めていただきたい。macではいまだに動く。)
2011.11.20 新たなHTML5バージョンのTSビュアーをアップロードした。

活性化エネルギーと実験値のr1r2と比べてみると、半経験的な分子軌道法MOPACの精度ではあまり良く合わないことがわかった。そこで、MOPACで得た遷移状態から非経験的分子軌道法(B3LYP/6-31G**)の入力構造を作り、計算を行った。これを400個全部について計算するのはやなので、100個ぐらい計算して、残りの遷移状態については、ニューラルネットワークで、活性化エネルギーと頻度因子を推算してしまうことにした。

そうして、B3LYP/6-31G**レベルの活性化エネルギーと頻度因子を使ってラジカル重合のモノマーシーケンスを推算するモンテ・カルロのシミュレータを作ってみた。

遷移状態のデータベースTransition State Libraries for Radical Polymerization (TSLRP) [の詳しい説明はこちらを参照してください リンク切れ]()。

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