2005.7.20
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ラジカル共重合、(重合シミュレーションの例)
Qe値をPoseidon用にチューニング
会社であれば、仕込み濃度などを変化させてラジカル・ポリマーを重合することは多いだろう。目的によっては、再沈してポリマー中にどれだけモノマーが導入されたかNMRや元素分析で調べるだろう。
その結果をPOSEIDONに合うようにQe値を決めていくと、自社のシステムに最適化されたPOSEIDONに進化していく。
ある特殊なモノマーをコンビナトリアルに重合した例がある。相手方のモノマーのQe値を文献値を使うとポリマー中に導入されたAのモノマー量は大きくばらつく。
Poseidonに最適化されたQe値を使えば、ポリマーへの導入量は良好に再現できるようになる。
その際に、道入量だけではなく、A-A, A-B, B-Bのダイアッドの量が計算値として得られる。これは、ポリマーの物性推算には重要な役割を果たす。
このダイアッド情報をもとに、Tg点を予測する。
Tgもとても良好に予測できるようになる。
ポリマーの屈折率もシーケンスに依存する。
自社独自のシステムで、TgとRIをピンポイントで欲しいところに合わせたいなら、POSEIDONを用いて、初期仕込みと重合度を最適化させてから実際に実験を行えば、数点の実験で欲しいポリマーが得られる。
これがMIを使って生産性を10倍向上させるということだ。人海戦術で絨毯爆撃している場合ではない
以降、2005.7.20の古い記述。
人工の高分子は分子量に分布を持つ事、シーケンスが一定でないことなどが生体高分子との大きな違いです。
もしあなたが接着力を強化するためにポリマー中にエポキシ環を導入しようと考えたとします。ポリマー中に均一に導入したいか、ブロックに導入したいか、ランダムに導入したいか? モノマーとしてはどんな選択があり得るか? Glycidyl methacrylate, Allyl Glycidyl ether, Glycidyl acrylateの3種類のエポキシ含有モノマーで試してみて下さい。ポリマーへの入り方は異なるはずです。シミュレーターはこちらから
そうしたシーケンスの違いによるポリマーの物性値の違いは、修正Gibbs-Dimarzio式を使います。こちらの記事を参照してください。
こうしたシーケンスの違いは実際にはNMRで決定できます。
シミュレーションは容易にDiad%や triad %を得る事ができ、NMRの結果と比較検討ができます。
ポリマーは分子量分布を持ちます。モノマーが1000個以上重合した長い鎖と10個以下のオリゴマーとの混合物がポリマーです。GPC(gel permeation chromatography) によってこうした大きな鎖と小さな鎖を分ける事ができます。こうした鎖の長さの分布は開始剤の濃度、モノマーの濃度、反応温度、溶媒の種類や連鎖移動剤の種類によって決まってきます。
ポリマーの分子量分布
Poseidonを使ってGPCのシミュレーションをする場合にはこちらを参照してください。
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