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2005.1.14

電荷を入れたニューラルネットワーク

次はこの新しいテーブルを使って。今度はラジカルのSOMOとHeadの炭素の電荷、モノマーのHOMO,LUMOとTail炭素の電荷を入れてニューラルネットワークを組んでみます。

例えば酢酸ビニルラジカルが無水マレイン酸モノマーに反応する場合、無水マレイン酸の2重結合のところに同じ位相のP軌道がきます。LUMOでは軌道が入れ替わって節ができています。酢酸ビニルラジカルのSOMOが反応する場合、軌道の重なり的には無水マレイン酸の酸素の部分に一番大きなP軌道がありますが、ここは電荷的にはマイナスが大きく酢酸ビニルのHeadラジカルの炭素も電荷はマイナスなのでここに反応するのは不利です。そこで酢酸ビニルラジカルは無水マレイン酸の2重結合に反応します。ですからラジカルのHead炭素の電荷、モノマーのTail炭素の電荷を入れてニューラルネットワークを組めばもっと精度よく活性化エネルギーを推算できるのではないかと考えるのは理にかなっています。

(実際、今回計算した中ではビニリデンフルオライド(VDF)は唯一Headラジカル炭素がプラスになります。そしてVDF-Stの活性化エネルギーが2.63と今回の中で最小です。他のモノマーとの活性化エネルギーも最大で7.96(無水マレイン酸の時)とどのモノマーとも良く反応するという結果になります。ただそうすると何でVDFのラジカルは無水マレイン酸の酸素を攻撃しないのか自分には説明できません。電荷的にも軌道の重なり的にも有利そうなのですが.....。そこらへんが分子軌道法を専門にしていない者の辛さです。誰か説明できる方がいらっしゃいましたらお願いします。)

name dE RaSOMO RaHCharge MonHOMO MonLUMO MonTCharge
AllC-AA 8.910044 -9.321 -0.2344 -11.147 -0.17 -0.0547
AA-MeO 8.984206 -10.118 -0.1489 -9.619 1.25 -0.2969
MMA-MeO 13.28327 -9.566 -0.1579 -9.619 1.25 -0.2969
AN-Vac 6.82 -9.855 -0.0478 -10.083 0.687 -0.2102
VDF-AMD 5.87 -9.874 0.0572 -10.925 0.143 -0.0608
AllC-GMA 7.2 -9.321 -0.2344 -10.587 0.143 -0.095

このような形で391個のデータを用意し中間層の数を5としてバイアスニューロンありで1490000回学習(再構築学習法)したところ次のような結果になりました。

これではラジカルのSOMO,LUMOとモノマーのHOMO,LUMOを入れた場合より随分悪いという結果になりました。やはりラジカルのSOMOは重要な数値でこれがないと活性化エネルギーはニューラルネットワークを用いても推算できないという事です。

そこで最終的にはラジカルのSOMO,LUMOとモノマーのHOMO,LUMO,Head,Tailの炭素の電荷を入れてニューラルネットワークを組み、また計算結果のあわないものを抽出して再計算を(何度も)行いました。結局最初のテーブル中の活性化エネルギーの391個のうち、133個を修正しました。

最終的に得られたニューラルネットワークは非常に良好に活性化エネルギーをラジカルとモノマーの分子情報からだけで推算できている事がお判りいただけると思います。一番大きく外れているのはBD-AMDです。理由はよく判りません。

MOPACで遷移状態を計算する事に依って得られる活性化エネルギーはニューラルネットワークを用いてもそこそこの精度で推算できます。それではそもそもMOPACのPM3とはどの程度現実を再現できていたのでしょうか? 特にフォトレジスト用のモノマー絡みで検証してみたいと思います。


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