pirika logo

Home 化学 HSP 情報化学+教育 PirikaClub Misc.

雑記帳

エノコロ > 化学者@キッチン >

2004.11.27

自分が唐辛子ですぐに思いつくものはラー油。ラー油の作り方をインターネットで調べてみるとほとんど見つかりませんでした。

でも「男の趣肴HP」ていうものすごいホームページが見つかりました。これを参考にラー油作りに挑戦しました。

まず前のページでも書いたけど唐辛子の辛みの主成分はカプサイシンでこれは油溶性です。油だったら何でもいい訳ではないのでしょう。ラー油ならごま油が当たり前なのだけどそれでは面白くなので、まず色々な油に入れてみました。

    

左からごま油、サラダ油 そして体脂肪、コレステロールを下げるとか言うジグリセリド油に唐辛子片を入れて1週間室温で置きました。色は写真では判りにくいのですが左のごま油が一番濃いです。ただしごま油は元々ちょっと着色していますが。ジグリセリドは親水性が高い為か着色量は一番少なめです。インターネットで見た別のページでは普通の唐辛子を使った場合は余り赤くはならないと書かれてもいました。市販のラー油にはパプリカ色素がいれてあるようです。しかし今回自分の使った品種はパプリカ色素豊富なのかかなり赤い色が出ました。

この油をなめてみるとごま油のものが一番マイルドな感じです。このマイルドというのは辛くないというのでは無くごまと唐辛子が協調して味を作り出しているっていう感じです。ジグリセリドの油はちょっと植物っぽいエグミが出てしまいます。多分親水性が高いため植物由来の違う成分までを抽出してしまうのでしょう。サラダ油は一番ニュートラルです。それにしてもどれも皆辛いです。

唐辛子は十分に乾燥したものを使う必要があります。ちなみに自分の経験では乾燥が足りないと唐辛子は油に浮くのだけど良く乾燥してあるものは沈みます。何でだろう?油は水に浮くのに。

次には油の温度です。「男の趣肴HP」ではごま油は加熱すると香りが飛んでしまうので半量使って抽出して残り半量はそのまま最後に足すとあります。辛子明太子などを加熱しすぎると辛みが飛んでしまうようにカプサイシンも熱には弱いようなので温度は重要です。今回は室温で抽出。電子レンジで20秒ずつ、熱くなりすぎない程度に何回も加熱(60℃以下)。100℃ぐらいで30分抽出。

これはコーヒーメーカーを保温にしてその上にステンレス容器に入れた唐辛子と油を入れて30分加熱しました。

そしてフライパンで熱した180℃の油と試してみました。意外と唐辛子が良く乾燥されていれば室温で置いたものが一番辛くなります。180℃の油をステンレス容器に入れた唐辛子に注ぐと激しく泡立ちます。それとともにちょっと焦げ臭くなりすぎます。試行錯誤の結果、油半量を先に容器に入れてそこに熱した油を入れるぐらいが良いようです。それでも入れた瞬間は激しく泡立ちます。60℃や100℃でやったものはほとんど辛くないです。でも自分はその油をラーメンに入れて食べるとやたらと発汗します。低温で抽出すると発汗成分は抽出されるけど辛み成分は抽出されにくいのでしょうか? 

自分はどちらかというと辛い方が好きなので油を半量入れて室温で2週間ぐらい辛み成分(エグミ成分も出てしまう)を抽出し、そこへもう半量180℃の油を入れて辛みとエグミを少し飛ばすというのを最終処方にしました。ここらへんは作る人の自由で決められます。

そして次は香油です。

ネギは庭に生えていたものです。ニンニクは来年こそは自家製を使いたいですね。これを適当に切ってフライパンで炒めます。そして唐辛子の上に注ぎます。

余ったものは別の容器に取っておきます。香りを取った残りのネギとニンニクは適当に野菜炒めとかに使います。

これで我が家特製のラー油の出来上がり。友人とかに試しに使ってもらっています。これで食べる餃子は絶品です。ご近所なら分けて差し上げられるのに、残念だなー。色々これ以外に隠し味で入っているしー。「えのころ」ブランドで売り出そうかな。

そしてこのラー油を入れる容器を色々探しているのですがいいのがありません。しょうゆ差しは色々なのが売っているのですけどねー。まーラー油を移し替える人は多くないし、ましてや自作する人はほとんどいないのでニーズが無いのかな?釜でも作って容器も自分で作るかな?? 誰かいいのをご存知の方がおられましたら教えてください。

ラー油と同様に唐辛子をオリーブオイルにつけ込んだペペロンティーニ用のオイルも作りました。油の量と唐辛子の量が最適化されていないので確実ではないのですがどうもオリーブオイルはカプサイシンの抽出力が弱いように感じます。そのうちにまた結果を書こうと思います。

手前が唐辛子を輪切りにして乾燥させているところです。

カプサイシンが油溶性という事で油だけでなくアルコールにも抽出されるようです。自分は飲んだ事が無いのですが唐辛子入りのウオッカなどが販売されているようです。なるべくアルコールの濃度の高いお酒を探したのですが近所のスーパーではGINが手に入った程度です。これに生の唐辛子をつけ込んでみました。

そろそろつけ込んで1ヶ月になりますが油と違い色は余り移っていないようです。寒い冬にあったまりそうで楽しみです。

2004.12.4 ちょっと舐めてみました。死ぬほど辛かった。辛み成分は色が無い事が判りました。そしてその疎水性度は40度のアルコール溶液と同じくらい。つまり完全な油よりもジグリセリド程度の油の方が良く抽出できるのでは無いでしょうか?

こうしてアルコールで唐辛子を抽出した液は害虫防除に使えるそうです。唐辛子を米びつに入れておくと虫がわかないって言うのと同じで。余る訳無いけどもし余ったら来年の庭で試してみよう。


Copyright pirika.com since 1999-
Mail: yamahiroXpirika.com (Xを@に置き換えてください) メールの件名は[pirika]で始めてください。