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2005.1.14

ラジカル重合論

ラジカル重合論 (井本 稔 P61~)には

ラジカルのSOMO、モノマーのHOMOと軌道混合がおこる。次にその時できた反結合性軌道がモノマーのLUMOと軌道混合をおこす。

と記載されています。 そこでラジカルのSOMOとモノマーのHOMO、LUMOからdEが推算できるのではないかと考えるのは自然な事だと思います。

そこでこのようなテーブルを作ってみます。

name dE RaSOMO MonHOMO MonLUMO
MAA-Mal 14.97 -9.682 -11.708 -1.548
AN-VDC 7.72 -9.855 -9.744 0.327
AA-AMD 12.31 -8.803 -9.794 0.143
AN-AM 9.65 -9.855 -11.067 -0.078
MAA-AA 11.18 -9.682 -11.147 -0.17
AN-AN 9.28 -9.855 -10.886 -0.187
CHO-VDF 8.08 -9.93 -10.759 0.227
Vac-cHn 11.67 -8.785 -9.593 1.168
MeO-MeO 7.35 -8.352 -9.515 1.302
MMA-MeO 11.68 -9.566 -9.515 1.302
VC-AllC 7.51 -8.928 -10.269 0.621
MAA-Vac 10.36 -9.682 -10.083 0.687
BD-AA 11.08 -8.848 -11.147 -0.17

これをまずは重回帰で計算してみます。相関係数は0.29ですのでほとんど相関がありません。

計算式は 

dE=0.963RaSOMO-1.099MonHOMO+0.621*MonLUMO+6.852

になります。これをプロットすると

となります。さすがに相関係数0.29では駄目ですね。何故駄目か考えてみると例えばラジカルの活性が高(RaSOMOがおおきい)ければ、安定で反応性の低い(MonHOMOの小さい)モノマーともよく反応できます。ですが重回帰ではこうした相互作用はすべて考慮されないので精度がでないのは当たり前でしょう。それでは入力間の相互作用を考慮するニューラルネットワークによって解析してみます。

中間層の数を3としてバイアスニューロンありで715500回学習(再構築学習法)したところ次のような結果になりました。

やはり余り精度が高いとは言えません。中間層の数を増やしたり様々なチューニングをする事は可能でしょうがおそらくたいした改善はされないでしょう。

この事は教科書的にはラジカルのSOMOとモノマーのHOMO,LUMOで決まると言われているこの反応には何か他の因子が絡んでいることを示唆しています。


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