2003.12.XX
うちには地下室がある。でも実はこの地下室を作るために大変な思いをした。話はまだ家を建てる前、土地を探している時にまでさかのぼる。自分達は土地を探す際に定期借地権は一つの考え方として港北ニュータウンの公団のやつに申し込んだりしていた。これは次点までいったがはずれてしまった。これなどは土地の広さも50坪近くあり面積的には十分だ。だけど普通に土地を探して家を建てるとなると40坪が限度だった。そこに建ぺい率50%で家を建てて、奥さんがかれこれ20年以上実家に置き去りにしているピアノを入れるスペースをとるとなったらはっきり言って自分らはピアノの下に寝るしかなくなる。そこで地下室は家を建てる大前提として存在した。たまたま縁があってA社Hハウスの人と土地を見に行ってこの榎が丘にいい場所を見つけて土地を買った。その縁でA社Hハウスの家を造るのは当然で別に何の異存もなかった。そして契約をして話を進めた。最初Hハウスは地下室は坪150万で造りますって言っていた。まー通常の上物の倍だ。そのぐらいだろうとは聞いていたしその線で話は進んでいたのだけど、最終的な見積もりになったら坪290万になっている。話が違うじゃないかって言っても「地下室は湿気がひどくピアノとか楽器を置くなんて薦めません」とか言う。しかも、同じ地下室でも神奈川と東京で値段が違って神奈川は高い、これは本部の方針でどうしようも無いと言う。施行例を見せてくれといっても近所にはないから見せられない。大型地下収納庫なら坪150万近くで造れるけどこれは高さが1mもない。営業のひと曰くそれでもその地下室でテレビを持ち込んでいる人もいますと言う。が中腰でもたてない所でテレビを持ち込んで眺めている人がいるからって言われてもピアノはひけないよね。ばかにするにもほどがある。でも再考をお願いした。地下室をあきらめるかHハウスをやめるかの岐路で土地を探す所では本当にお世話になったけどちょっと他のメーカーも当たってみようという事になり再考を頼んでいる間にいろいろ動いた。地下室に関して実績のあるT社の住宅展示場のある瀬田まで出かけたり、他の住宅展示場を回ったりした。T社は現場でコンクリートを打つ施工法なので地下室が湿気てしまうので楽器を置くには適さないと釘をさされてしまった。乾燥するのに4ー5年はかかるだろうと。この施工法はHハウスも同じだ。たまたまそこの展示場で地下室を持ていたのがT社の真向かいの三井ホームだ。ここで話を聞くとすぐに営業がすっとんできて言うに三井の地下室はプレキャストコンクリート(PC工法)なので地下室は湿気ません。楽器とかをやるには非常に適していますし実績もありますということだった。あらまー。これはひょうたんから駒。だけど結構こちらも疑心暗鬼になっていたので1社の言う事を素直に受け止められない。そこで他にも展示場を回っていたらS社も地下室をやっているという。これは鋼鉄製の地下室で潜水艦みたいなものでこれも楽器とかは非常に適しているという話があった。これも見積もりを社宅まで届けてくれるほど力が入っていた。その展示場を見た際に実はHハウスにも知らんぷりして話を聞きに行った。土地の手当は済んでいるのだけど、地下室を造れるメーカーを探している。Hハウスは地下はすごく高いって聞いているけど。って言うとその展示場の営業はいえうちは坪100万でやっていますと言う。すごいですね。営業は100とか150万とかいい加減な事を言って客をとって、契約が済むと坪290万ですもんね。そんなこんなをしているとHハウスからは再考しても値段が高いのはこれ以上どうしようもありませんという回答がきた。そこでそれならこちらもメーカーを変える事も含め話を白紙に戻したいと伝えた。するとH社の営業の上司なるものが話をさせてくれっていうのでこの時ばかりは奥さんを巻き込みたくなかったので自分一人で出かけた。でも鞄には会話の内容を全て録音する用のICレコーダーを仕込んで出かけた。そのHハウスの上司いわく、怒るのももっともです。他のメーカーを当たるのもしょうがない事ですがHハウスもそのコンペに参加させて下さい。ということだったので三井ホーム、S社、T社、Hハウスにプランをもらう事にした。Hハウスが出してきたプランは坪180万。いきなり100万下げてくる。これ以上は下げられませんって営業は言っていたのに。曰く東京と神奈川の差を無くしたのとドライエリアを無くした設計でこの値段になりましたとの事。逆に言えば東京は激戦区だから安くするけど神奈川はその穴埋めで高くしますって言うのが従来の値段設定だったとHハウスは認めている。それでもHハウスのが一番高かったので、Hハウスの売り物は何ですかって聞いたら、丈夫さですって答え。H社の地下室はダム並の強度を誇りますって。でもうちは榎が丘、丘のてっぺんでそこにダムを造ってくれって頼んでいるのではない。その段階でHハウスの可能性はなくなった。でもそれを伝えると、(既に手付け金を払い込んであったのだが)解約金だの証書の印紙代だのを取った残りしか返さないと言い出した。こちらは地盤調査の結果を全て渡すなら地盤調査代は引いていいがそれ以外の手付け金は全て返却するようにと強く出た。それを返却した上でこちらに落ち度があると思うなら損害賠償でも何でも訴えてくれて結構。手付け金を解約手数料や証書の印紙代に使うのは目的外使用だと主張したところHハウスは全面的に折れて地盤調査費用以外は全額返済した。甘い顔をしては本当に駄目だ。でもそうした顔は家族には見せたくない。しばらく自己嫌悪した。そしてT社は本当にやる気が無くって、図面は書いて持ってきたけどその後どうですかの一言もなく脱落。三井ホームとS社は最後までもつれたのですが、S社の地下室を造っていた会社が倒産してしまい、「地下やねん」の可能性もなくなってしまった。(でもそれ以外にもいろいろ差はあったけど)結局三井ホームのプレキャストコンクリート工法(PC工法)の地下室を造る事にした。コンクリートと言うのは水と石灰と砂(砂利)を混ぜて固めて造るのだけどその際に徐々に水分を放出して強度が上がって行く。それが大体4ー5年かかってしまう。だから造って4ー5年はコンクリートから出てくる湿気で地下室は黴びやすいと言われてしまう。三井のプレキャストコンクリート工法というのは工場で湿度、温度を管理してコンクリートを最大の強度まで仕上げてから持ってきて組み立てるのでコンクリートから湿気が出る事は無い。コンクリートとコンクリートの隙間は特殊なエポキシ樹脂で固めるのでその隙間から漏水することは無いという代物だ。実際の施行例も見せて頂いた。もう引退した老夫婦の家だけど地下室とは思えないすばらしい空間だった。結局12帖のピアノ用の空間と6帖の納戸の空間を地下に造る事にした。そのぶん家の予算は随分高くなったし工期も長くなったけど全く後悔していない。すばらしい空間を手に入れた。
窓の外には2帖近いドライエリア。自分達夫婦は本もものすごく一杯持っている。それはすごく重い。地下室はそうした書斎コーナーとしても最高のスペースだ。この地下室、湿度計を入れてあるが湿度が60%をこえる事はほとんどない。三井ホームには家の引き渡し時に地下室の換気扇は24時間動かしっぱなしにしておくように指示された。そして今年の梅雨の間は確かにずーっと換気扇を動かして、且つ除湿器を動かしていた。毎日毎日タンク一杯の水がとれるのですごく湿気ているのかなーと思ったら、何の事はない換気扇を動かしているので外の湿気を引き込んでいただけだった。換気扇をとめて除湿器だけにしたら水はほとんど取れない。湿度は60%近辺。気温も夏は涼しく冬は暖かい。ちょっと暑いなと思ってエアコンをかけると数分で寒いくらいに効く。熱効率は最高にいい。
ここに念願のピアノを入れた。ドライエリアは十分に広いので簡単に釣り下げられる。えのころチビズは一人はピアノのメカに興味が強くピアノのふたを開けてハンマーが弦を叩く所にすごく興味を持っている。もう一人は音楽に合わせて踊る方に興味を持っている。自分はそれを横目にコンピュータを叩いて化学をする。このページを見て三井ホームの地下室に興味を持った人。このページを見たよって営業に言えば割引があるかも(ウソウソ、ないない)